太極拳

Taichi

“演じる武術”として注目される武術太極拳の魅力

太極拳と聞くと、日本では「健康法」のイメージが強いかもしれません。しかし、中国武術(国際的には「武術(ウーシュー)」で名が通っている)の中の1種目でもあるのです。

日本では、冒頭の挙げた健康法としての太極拳の愛好者人口が圧倒的に多いことから、太極拳と各種の中国武術、中国拳法を総称して「武術太極拳」という名称の競技として普及が進められています。

今回は、近年若い人たちの間でも関心を集めている武術太極拳のルールや魅力をご紹介しましょう。

武術太極拳の試合形式は「対抗性競技」と「演武競技」の2種類



武術太極拳は、国際競技スポーツとして大いに発展してきました。今年2018年8月にインドネシア・ジャカルタで開催される第18回アジア競技大会でも正式実施競技として行われる予定で、アジア競技大会の正式実施競技として定着しています。

試合形式は、以下の2種類。一定のルールのもとに相手と格闘して勝負を決める「対抗性競技」と、一定の動作を演武してその技術水準を評価する「演武競技」です。

なお、演武競技では、定められた時間とルールにもとづいて1人(組)ずつ演武し、審判員が与える得点によって順位を決定。種目としては、太極拳、太極剣、南拳、南刀、南棍、長拳、剣術、刀術、槍術、棍術などが行われています。

将来のオリンピック種目を目指して。国際競技ルールの大きな特徴



武術太極拳を将来のオリンピック種目にするため、より公正で正確な判定を目指すべく、演武競技の内容と採点ルールを革新し向上させることを目的として統一規定が定められています。

国際競技ルールの大きな特徴は、以下のA組・B組・C組それぞれにおいて、あらかじめ定められた動作を観察し、個々の動作に対して減点するかしないか、あるいは難度動作に対して成功か失敗かの判定を行うこと。

・A組審判(動作の質とその他のミスの採点)に5点を配点、3人の審判員が担当する。
・B組審判(演技レベル)に3点を配点、3人の審判員と審判長が担当する。
・C組審判(難度動作)に2点を配点、3人の審判員が担当する。

選手の最終得点は、コンピューターが各組の減点などを同時集計して算出します。これにより、採点の過程での審判員の主観的な判定要素や人為的なミスを極力排除することができるようになりました。ちなみに、競技レベルの向上を鑑み、現在も「国際武術競技ルール」の改訂作業がすすめられています。

太極拳種目観戦のポイントは、曲と演武との調和



選手は、自分のレベルに応じて難度動作と連接難度動作を選び、全体の演技を自分で構成します。

中でも、太極拳種目を観戦する際のポイントは、曲と演武との調和。身体の動きがなめらかかどうか、曲線的な動きになっているかどうかも注目してみてください。“演じる武術”として、その魅力はますます高まっていくことでしょう。

監修者:荒谷 友碩

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