モーターサイクルによるクロスカントリー。これが、未舗装のオフロードコースでスピードを競う二輪レース「モトクロス」です。
発祥の地はヨーロッパで、今から50年以上も前に始まりました。その後、世界各地に普及し、アメリカ、南米、オセアニア、そして日本でも盛んになっています。
今回は、そんなモトクロスの魅力をご紹介します。
モトクロスは、実にシンプルなモータースポーツ
モトクロスは、実にシンプルなモータースポーツです。そのルールは「横一線のグリッドからスタートし、制限時間内に最も多く周回を重ね、最初にチェッカーを受けた者が勝者」というもの。30台程度のバイクが横一列に並び、スターティングゲートを使用して一斉にスタートします(予選がある場合、成績が良いとスタート時のグリッドを選べることも)。競技時間はライセンス区分によって異なり、例えば、国際B級(IB)なら20分プラス1周走行で、国際A級(IA)なら30分プラス1周走行でゴールとなります。
なお、全日本選手権では、30分プラス1周の決勝レースが1大会に2度行われるのが通例。それぞれのレースを「ヒート1」「ヒート2」と呼び、両ヒートの獲得ポイントの合計で総合順位を競います。また、各大会のポイント合計によって、年間シリーズチャンピオンが争われます。
極限まで軽量化された競技専用車両「モトクロッサー」
モトクロスで利用される車両は「モトクロッサー」と呼ばれる種類で、公道を走ることができない競技専用車両です。このモトクロッサーは、丘陵などの不整地でスピードを競うため、サスペンションのストロークを長くしたり、灯火類などを省いたりしながら極限まで軽量化が追求されています。
起伏に富んだ自然むきだしのオフロードコース上にはジャンピングスポットが設けられ、そこで披露されるジャンプなどの三次元的なアクションがモトクロスの醍醐味ですが、これはモトクロッサーの軽さがあってこそ。
ちなみに、選手が用いるモトクロッサーは450cc、250cc、125ccといった排気量ですが、中には85cc、65cc、50cc(子ども用)などの小排気量車も市販されています。これら「ミニモトクロッサー」によるレースも各地で開催されていて、両親と一緒にモトクロスを楽しむ小中学生のモトクロスライダーも増えてきています。
見どころは、軽々しく高く舞うジャンプと疾走するスピード感
モトクロスの見どころは、軽々しく高く舞うジャンプと疾走するスピード感。しかも、観戦エリアがコースに近いため、選手の個性が光るジャンプを臨場感たっぷりに体感することができます。
また、凄まじいエンジン音とともに、30台程度のバイクが一斉にスタートを切る光景は圧巻です。
監修者:川口 尚希